包茎手術の失敗とトラブル
【画像解説付き】



さて、この第十三章では包茎手術の失敗とトラブルについて画像解説つきで検討してみます。

平成28年6月に国民生活センターより包茎手術に関して消費者に注意が喚起されました。
過去5年間に男性の美容医療にかんする相談件数は約2130件で、 そのうち約半数が包茎手術に関する相談が占めるそうです。 その内の7割近くが治療費に関する相談で、2割が治療内容の安全性・衛生面に関する相談、そして残りが包茎手術に関する危害事例(術後の症状のトラブル・失敗事例)で74件だそうです。


包茎手術の危害事例に関して、その内容を簡単にまとめると以下の通りです。
1、包茎手術の後に勃起しにくくなった、又は射精しにくくなった。
2、高額な治療費をかけて包茎手術をしたにもかかわらず傷が裂けてしまった。
3、包茎手術後に大出血をおこしても十分な対応をしてもらえなかった。
4、包茎手術を受けてから暫く経つのに腫れが引かない。とくに裏側の腫れが酷く不格好な陰茎になってしまった。
5、亀頭が黒く変色してきた。一般病院に診てもらったら亀頭が壊死していると言われた。
6、包茎手術の傷跡が痛む。引きつったような痛みがでることがある。



正直な感想から言わせてもらえば、全相談件数に占める包茎手術の危害事例の件数が私が思っていた感じより少なかったな…。 やはり場所が場所なので不具合があっても誰にも相談できない方が多いのでしょうか?。私も包茎手術のあとに亀頭が痛くて日常生活がかなり制約されました。 本当に普通の状態に戻るのかすごく不安でしたし、病院で話には聞いていましたが、こんなに酷いなんて想像できませんでした。 術後2週間ぐらいまでは出血も頻繁に生じました。 包茎手術後に戸惑ったのはマスターベーションで、今までの包皮の上から亀頭部を刺激する方法に慣れていたため、亀頭周辺部を直接刺激しても感触が異なり、 最初は射精までいくことができなかったことです。


現在は何の問題もありませんが、包茎手術を受けた後は、このような症状がでやすいと思います。 以下では各内容ごとに、何故そのような事態になったのか、どうすれば良いのかを検討したいと思います。



包茎手術の高額治療費の問題

国民生活センターに寄せられる包茎手術の相談のうち70%近く700件あまりが高額治療費の問題です。 この問題は私が治療を受けた頃でもWEB上では取り上げられていました。 近年の専門院の定価値下げキャンペーンの結果、ホームページ等から患者さんが想定した金額と実際に専門院から提示された金額の差が大きくなったことも原因のひとつでしょう。
いくら専門院の治療費の定価が下がっても、決して患者さんには受け入れ難い仕上がりになる手術法の定価だけだったり、基本手術の定価が安くなっても美容的なオプション治療を 追加しないと綺麗に仕上がらず、結局は支払い総額は値下がり前と変らない仕組みになっている場合が多いのです。
専門院で包茎手術を受けるにあたって患者さんが肝に銘じることは「安く専門院で手術は受けられない」ということです。一般の保険診療の泌尿器科でも自費で仮性包茎を手術して もらえる場合でも10万〜12万円程度は普通なのです。外来の患者を診療するという収益の太い柱がある一般の泌尿器科でもこの金額でなければ収益が出ないのです。 包茎手術一本で宣伝広告費も桁外れにかけている専門院が、その程度の金額で手術をするわけがないのです。
さて、ここでは包茎手術の高額治療費の問題を専門病院側の原因も含めて更に深く検討します。


包茎手術の高額治療費


包茎手術の痛み

国民生活センターに寄せられる包茎手術の危害事例のうち一番多かったのが痛みに関する相談でした。 危害事例74件のうち半数が痛みに関して相談しています。包茎手術の痛みには手術自体の痛みと手術後の痛みにわけられますが、問題になるのは包茎手術後の痛みです。
包茎手術自体のの痛みは麻酔が効いてしまえば、どこの専門院でも無痛で手術が受けられます。あるのは注射の痛みだけ。これも薬剤を注入する時だけです。
これに対して手術後の痛みは深刻な場合があります。真性包茎の患者さんは亀頭が過敏すぎて下着にこすれる度に痛みが走ったり、包茎手術を昔ながらの「レーザー・クランプ法」 で受けてしまい、傷跡をレーザーで溶接した結果火傷が痛んだり、勃起するたびに縫合した糸が引っ張られ痛かったりします。
これはどれも包茎手術後に出やすい症状で、消費者相談窓口に駆け込むような内容ではないのですが、専門院での対応が悪くて相談数をのばす結果が出たのでしょう。
さて、ここでは包茎手術後に出る痛みについて、いくつかのパターンに分けて更に深く検討します。


包茎手術の痛み


包茎手術の腫れ(画像解説)

国民生活センターに寄せられる包茎手術の危害事例のうち二番目に多かったのが腫れに関する相談でした。 危害事例の相談のうち2割程度の患者さんが相談内容に腫れに触れているようです。
だいたい包茎手術直後の腫れは麻酔が主な原因です。患部に麻酔液を注射するので腫れは出ます。歯医者で麻酔しても腫れがでるでしょう。あれと同じです。
そしてその後はしばらく腫れが残ります。これは包皮を切開しているのが原因です。それも通常であれば2〜3週間程度で引いてきます。
問題は手術後数ヶ月たつのに腫れが引かない場合です。主にこれが出るのが陰茎の裏側・亀頭小帯の周辺です。これが気になって専門院に相談すると たいていが「リンパ液が溜まってるだけだからマッサージ続けるように。」と言われますが、続けても変化はしません。 これは包茎手術をするときの切除ラインのデザインに問題があるためです。特に失敗と言えるぐらい問題があると腫れが大きく「ペリカン変形」と いわれる形状になります。
さて、ここでは包茎手術後に出る腫れについて、いくつかのパターンに分け、特に腫れのうち失敗とされる「ペリカン変形」について詳細に検討してみます。


包茎手術の腫れ(画像解説)


包茎手術の出血

国民生活センターに寄せられる包茎手術の危害事例のうち三番目に多かったのが出血に関する相談でした。 危害事例の相談のうち2割程度の患者さんが相談内容に出血を触れているようです。ほぼ腫れと同じぐらいの相談件数です。
包茎手術は、ほぼ100%近く包皮を切除しますから手術中も手術後も当然出血します。
包茎手術中に出血が無い場合は「レーザー・クランプ法」による包茎手術の場合が多いです。出血は麻酔の注射跡から出る程度だからです。ハンドメスで切除した場合は 止血をしながらの手術になりますから当然に出血します。傷跡を縫合することで出血を抑えるわけです。
なので、ここで問題になるのは手術後の出血になります。包茎手術程度でしたら出血しても包帯を圧迫気味に巻いておけば通常は収まるケースがほとんどです。 では、なぜこれがトラブルになるかというと、専門院側が再診をしない為です。出血しても数日様子をみさせられます。 これは専門院が常勤の医師を雇っていないことが多いからです。つまり診察日が限られているため次の診察日まで待たされるからです。だからトラブルわけなのです。
さて、ここでは包茎手術後に出る出血について、いくつかのパターンに分けて深く検討してみましょう。


包茎手術の出血


包皮の切りすぎ(画像解説)

包茎手術で包皮を切り過ぎて勃起すると突っ張る、勃起すると陰嚢が持ち上がってしまい不快などの症状が出る失敗事例です。 これが原因で勃起障害になる方もいます。国民相談センターに寄せられた相談は数件程度ですが、何故このような症状がでるのでしょうか? 私が20年近く勤務していた専門院で「勃起すると突っ張る」という症状が出たケースは1〜2例程度でした。それもたいていは時間が解決して問題になりませんでした。 ただ他の専門院で手術を受けた患者さんが同じ症状で相談に来院した時がありましたが、確かに通常時に包皮に余裕が感じられないような包皮の残し方で少し驚いたことがあります。
たぶん未熟な医師が目測で包皮を切りすぎたのでしょう。これはほとんどレアなケースといって良いと思います。このケースでも時間の経過で皮がのびて最終的には問題がなくなりましたから。 ではなぜ包皮を切りすぎてしまったのでしょう。ここでは包皮の切りすぎについて更に検討してみましょう。


包皮の切りすぎ(画像解説)


包茎手術で性感が無くなった(画像解説)

包茎手術で性感帯を無くしてしまい感じなくなった、違和感があって気持ちよくない等の症状が出る危害事例です。これが原因で射精障害になる方もいます。 国民生活センターに寄せられた相談は数件程度ですが、何故このような症状がでるのでしょうか。
これは多分に包茎だった時の変な癖がついていることが多いのです。私も包茎手術を受けた時に感じたのが、例えばマスターベーションの時、それまでは包皮の 上下運動だったのが亀頭を直接刺激する方法になり、それが慣れずに気持ちよくなく射精に至らない時があり不安に感じました。 結局は刺激の変化に慣れることで問題は解決したのですが、男性の性感はこのようにデリケートだということです。
ではなぜ、こんなに性感の欠落が問題になったかというと、多分に亀頭直下法という専門院の手術法にあります。切除ラインを亀頭直下にもってくるため 亀頭小帯周辺の粘膜部分が少なくなり性感が落ちるという話が出たからです。こんな話がでたら手術後の患者は不安になりますよね。
さて、ここでは亀頭直下法と性感の関係について焦点を当て、更に性感について検討してみましょう。


包茎手術で性感が損なった(画像解説)


包茎手術の傷跡(画像解説)

包茎手術の傷跡がひきつる、硬く盛り上がってしまい不格好等の症状が出る危害事例です。 包茎手術の術式にも問題があるケースが多く、ここでは術式をふまえて傷跡について検討してみます。 包茎手術の傷跡が大きくクローズアップされたのは昭和から平成に変った時でした。昭和の頃に最先端技術ともてはやされた「レーザー・クランプ法」が実は 早く手術が終わるだけで傷跡が目立つことが患者さんに知れ渡ったのです。
そのため専門院側もハンドメイドの手術に切り替えたり、傷跡が残らないクランプの使用法を開発したりしたため、平成に入ってからは徐々に傷跡に悩む 患者さんの来院は減ってきました。そのため平成の初期には月に2〜3例あった傷痕の修正手術も平成の後期には年に数例になっています。 そのためあまり大きなトラブルに発展するケースも少なくなったようです。
さて、ここでは「クランプ法」に焦点を当てて、包茎手術の傷痕について更に検討してみましょう。


包茎手術の傷跡(画像解説)


包茎手術でツートンカラー(画像解説)

最近の包茎手術の術式である「亀頭直下法」ではツートンカラーにはなりにくいので相談件数自体は極めて少ない事例ですが、ここではいちおう検討してみることにします。 一般の保険診療の泌尿器科で包茎手術を受けると亀頭から離れた位置で輪切りにされるためツートンカラーが目立つ場合があるので診察の際に必ず確認しましょう。 ここでは亀頭直下法の仕上がりと、ツートンカラーになった仕上がりを比較することで更に深く検討してみましょう。


ツートンカラー(画像解説)


包茎手術で裏スジがズレた(画像解説)

陰茎の裏側には裏筋とよばれるラインがありますね。普通にむけたペニスは亀頭小帯から裏筋は一直線です。 しかし包茎手術を受けると切除した所で裏筋がズレることがあるようです。ここでは裏筋のズレについて検討します。
通常、ハンドメイドで手術をすると小帯と裏筋が合わせて縫合を始めるのでズレることは考えられません。これがズレるのは「クランプ」と呼ばれる簡易包茎手術器具を使用した ケースが多いようです。「クランプ」を使用しても適切に操作すればズレないのですが、適当に手術するとズレてしまいます。
ここでは裏筋がズレてしまうクランプ使用のケースを中心に更に検討しています。


裏筋のズレ(画像解説)


包茎手術で壊死(画像解説)

国民生活センターに過去5年間に寄せられた相談のうち「壊死」にかかわる件数は2件でした。 ただ症状が極めて危険なので、何故包茎手術で陰茎が壊死するのか…ここで検討してみることにします。 「包茎手術で壊死」と聞くと包皮を切る際に大切な血管を切ってしまったことが原因で起こしたように聞こえますが、実は包茎手術が原因ではありません。 包茎手術は体表の包皮を切るだけなので大切な血管を切ることはないのです。
では何故包茎手術で壊死が起こるかというと、専門院が包茎手術を受けに来た患者に亀頭増大・強化術を勧めるからです。これは亀頭部にヒアルロン酸やコラーゲンを注入して 亀頭を大きく強化する方法です。薬剤自体の安全性は高いのですが、注入する箇所を失敗すると血流をせき止めてしまい壊死がおこるのです。
さて、ここでは包茎が原因で壊死が起こるケースに触れつつ、亀頭増大・強化術の失敗・トラブルについて更に検討してみましょう。


包茎手術で壊死(画像解説)


包茎手術の相場

包茎手術専門院は治療費をめぐるトラブルが多い業種です。なぜなら治療費が患者の負担能力によって決めているためです。 専門院は「同じような包茎の症状」でも患者によって治療費は様々になっているケースが多いのです。
カウンセラーが患者の負担能力を見誤ってしまい、また患者も断る勇気がないと後でトラブルが発生してしまうのです。これも患者さんが専門院の治療費の相場・妥当な 治療費を知らないことが原因のひとつと考えられます。
ここでは包茎手術専門院の治療費の相場を検討してみます。


包茎手術の相場



監修責任者
監修責任者

筆者

阿部 泰晴

自由診療系の病院経営コンサルタント。包茎専門院や美容外科の開設・宣伝・管理業務に携わる。 それで知り合った包茎専門院の医師・診療スタッフからの情報に基づいてサイトを運営しています。 地元の包茎専門院で真性包茎の手術を受けた経験者でもあります。{連絡先}


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