包茎専門クリニックの術後の相談電話でよくあるのが、裏筋のズレについての相談です。機能的には問題はないのですが、見た目から気にする患者さんも多いので、ここで検討してみます。
裏筋は皆さんはわかりますよね。自分の陰茎を見てみると、亀頭小帯の真下あたりから陰嚢に向かって筋があるのが確認できると思います。裏筋のズレは包茎手術で途中の皮を切り取った際に切除ラインの所でずれてしまう症状です。
図でみると解りやすいですね。@の図は裏筋が亀頭小帯の真下から伸びているのに対してAは切除ラインの所でズレているのが解ると思います。なんでこんなことが起きるのでしょう。
1、完全ハンドメイドの包茎手術では裏筋はズレない。
完全ハンドメイドの包茎手術では裏筋がズレる心配はありません。なぜならば図のように余っている皮を除去した後に亀頭小帯と筋の部分が連続するように縫合できるからです。縫合をこの部分から始めれば良いので大抵はズレません。
2、クランプ式の包茎手術では裏筋がズレることがある
さて、問題なのはクランプを使用して包茎手術をおこなった場合です。クランプを使用した包茎手術は第2章を参照してください。ここではズレの原因だけを解説します。
クランプを使用して包茎手術をおこなう場合、まず最初にキャップを亀頭にかぶせます。この際に亀頭小帯がキャップのどの位置にあるかを確認します。図ではキャップ上部についている十字の方向に小帯があります。次に包皮をキャップにかぶせて、ブレードを上からはめます。
ブレードを包皮の上からかぶせた時に裏筋がキャップ上部についている十字の方向にあればクランプを使用しても裏筋はズレません(図@)。しかし図Aのように十字の方向からズレている場合は、包皮を切除すると小帯と筋は切除ラインでズレてしまいます。
たったこれだけのことなので注意して操作すれば良いのですが、クランプを組み立てる際にズレてしまったり、包皮を引っ張り上げる際にズレてしまう場合があるためクランプ式の場合はズレが発生する可能性が少なからずあるのです。
このようにクランプを使用してズレてしまった場合にも、傷を開いて小帯と筋を合わせて縫合すれば良いのですが、クランプを使用しているクリニックの多くは面倒なのでしないケースが多いようです。クランプを使用するのは縫合が楽で短時間で手術を終えることができるからです。クランプを使用して傷が接着し縫合しやすい状態になっているのに、傷を開いてしまったら総合が大変です。良心的なクリニック(もしくは良心的な医師)はやり直してくれますが、面倒がる医師ならズレてても気にしないで縫合してしまいます。なんせ機能的には問題が無いから…。
後は手術後の適当なことを患者さんに言って終わりです。その際に使われるセリフは「陰茎のねじれを修正するためにずらす必要があった…」というのが多いそうですよ。