包茎手術にまつわる、ここだけの治療話!TOP>クランプを使用した環状切開術(亀頭直下法)
ここでは包茎手術のやり方のうち一番オーソドックスな手術法と呼ばれる環状切開術で、切除ラインが亀頭直下になるように「クランプ」と呼ばれる金属製の簡易包茎手術器具を操作する方法について解説します。
さて、上の図を見てください。これはクランプを分解した絵です。クランプの形状は数種類あるようですが、ここでは一般的と呼ばれている形状のものを取り上げました。@は「キャップ」で亀頭にかぶせて保護する部品。Aは「ブレード」と呼ばれる包皮を挟む輪とグリップの部品。Bは「てこ」の役割をはたす部品。Cは「てこ」を締めるネジになります。
「クランプ」を使用した環状切開術は、包皮を単に輪切りにしただけですが、少し操作するだけで亀頭直下に切除ラインをもっていくことができます。そのため、今でも包茎専門病院では「クランプ」を使用した手術を、「亀頭直下法」によるハンドメイドの手術と呼んでいるところもあるようです。
まず、麻酔の注射をする前にデザインをします。このデザインのラインが包茎手術の仕上がり具合を大きく左右します。麻酔の注射の前にデザインするのは、麻酔液が皮下に入ると腫れてしまい元の形状が分らなくなってしまうからです。デザインは切る場所にラインを引くことです。まず内板(包皮の内側・粘膜部分)の切る位置を決めます。現在の包茎手術の主流は亀頭直下に切除ラインをもってくるため、だいたい上の図の位置にラインを引くことになります。特にラインが複雑になるのが亀頭の裏側で、亀頭小帯を少し残すようにデザインするためです。
包皮の内板側のデザインが終わったら、次に外板(包皮の外側・皮膚部分)側のデザインです。勃起した時のことを考えて多少余裕をもたせます。ラインは亀頭のカリがある位置より少し先端寄りに一周ラインを書きます。この時に亀頭小帯側の外板を、残し過ぎにラインを引いてしまうと「ペリカン変形」の原因になったりします。このデザインの優劣で包茎手術の仕上がりの50%ぐらいは決まってしまいます。
ラインを引き終わったら、麻酔の注射をします。そしてクランプのキャップを亀頭にかぶせます。これは包茎手術で包皮を切除する際に亀頭を保護する部品です。キャップをかぶせたら包皮を元に戻します。金属製のキャップが亀頭の包皮にはさまれた感じになるわけです。
ブレードの輪の部分をかぶせます。この時に外板に引いたラインがブレードの輪に重なるようにします。
包皮をめくって内板を青い矢印側に引っ張ります。すると内板側に引いたラインが出てきます。これを一周おこなってラインをブレードとキャップの接合部に重ねます。
外板に引いたラインと内板に引いたラインがブレードとキャップの接合部で重なることを確認したら、「てこ」をキャップにひっかけます。
ネジで「てこ」を締めるとキャップが引き上げられ、ブレードとキャップの接合部にはさまれた包皮が締めあげられます。
かなりきつくネジを締めあげたら包皮を切除します。切除は普通は鋭い刃をもつハサミで削ぎ落とす感じで切除します。
上の図はネジで締めあげた時のキャップとブレードの接合部の断面です。締めあげた接合部に沿って一周包皮を切除するわけです。これでクランプを外して縫合してしまう場合もありますが、普通はレーザーメス(電気メス・高周波メス等)を使用して切除面を焼灼します。要は傷が開かないように溶接するわけです。右の絵の接合部の上に少し残った包皮を焼いてしまうわけです。
レーザーメスで溶接してクランプを外せばこんな感じです。これがクランプを使用した亀頭直下・環状切開法の仕上がりです。クランプをきちんと操作できれば外板と内板に引いたラインが接合した切除ラインが亀頭直下にできる感じになります。
こんな操作ができるなら「クランプ」を使用した包茎手術でも良いな〜なんて思う方もいらっしゃると思います。ところが「クランプ」には大きな欠点があります…サイズの種類がないのです。
クランプを使用した包茎手術をもう一度想像してください。クランプを使用すると陰茎にできる切除ラインの円周はブレードの輪の円周と同じ長さになります。
例えば、陰茎の直径が3cmある患者さんの包茎手術を、サイズが2.6cmのクランプを使用した場合どうなるか…。直径が4mm違うと円周は1.2cm以上変わってきます。そうすると傷が陰茎を締め付ける「カントン状態」になってしまいます。
このように「クランプ」は患者さんの陰茎の大きさや形状をある程度無視しておこなう包茎手術なのです。