包茎手術の高額治療費の問題
(包茎手術の失敗とトラブル)



国民生活センターがまとめた消費者相談窓口に包茎手術関連で寄せられた相談内容のうち一番多かったのは高額な包茎手術代金の相談でした。 昔から包茎手術専門院の手術代金は高いという話は出ていて、毎年のように改善されているはずですが相談件数は毎年変わらないそうです。 ここでは包茎手術専門病院の高額治療費問題について検討してみます。


1、包茎手術専門院側の改善

包茎手術業界では高額治療費問題が騒がれ、その都度、専門病院側と消費者相談センター側が話し合って色々な改善がなされてきました。まず、そこからみてみましょう。

@、包茎手術を受ける前に治療費総額を患者さんに明示すること。ローンで治療費を支払う場合は利息の総額を事前に説明すること。
以前は、手術中に患者さんを説得して増大治療等のオプション治療を勧めたりしていました。消費者センターでもこれは問題とされ治療費の返還を請求されるので専門院側も改善し、 事前に治療内容・治療金額・支払いがローンの場合には利息を含めた支払総額をカウンセリングの段階で決めて承諾書をもらうように改めたところが多いようです。

A、健康保険が使用できない病院であることを事前に患者さんに理解させること。
真性包茎の患者さんに多いようなのですが、真性包茎なので包茎専門院でも保険証が使用できると誤解している患者さんがいるため専門院側でも注意を喚起することにしています。 ホームページに「保険診療機関ではないので保険証は使用できません」と注意書きがでているのはこのためです。 また、真性包茎の患者さんには保険診療機関で治療すれば保険証が使用できる旨の説明もしています。

B、未成年者の包茎手術に関しては、親権者の同意書をとること。
平成の初期の頃まではルーズで、未成年者でも同意書なしで包茎手術をしていました。 手術の内容が包茎なので恥ずかしがって親にばれないように患者さんがするため結構平気で手術をしていました。 術後に親にばれてクリニックに問い合わせがあっても「包茎手術」を受けたと聞くと苦笑される程度で済むケースが多かったからでもあります。 それとローン会社も未成年者に平気でローンを組ませるところが多かったのも大きな原因ですね。現在は消費者センターからの指導で未成年者にローンを組ませるローン会社も なくなったため支払に難がある未成年者の包茎手術は大幅に減ったようです。私が専門院にいた初期の頃は未成年者が全体の2〜3割ぐらいいましたが、現在では 月数件ぐらいに減少しています。
さて、話は変りますが最近民法が改正になって成年が20歳から18歳に引き下げられました。それにともない18歳・19歳の方が親の同意書なしで包茎手術を受けられる ことになりました。今後、専門院側でも患者さんの増加を予想しているところも増えているようですが、中には従来どおり20歳未満の患者さんは同意書を求める 良心的な専門院も現れています。

C、包茎手術料金が安いと誤解を与えないようにするため、治療の組み合わせ次第で高額になることが分かるようにすること。
よく専門院のホームページで料金表のところをみると、包茎手術に色々なオプション治療を加えた場合の治療費の総額の例示がたくさん出ているのを見たことはありませんか? 安めの治療費総額から高額な治療費総額までいくつも例として出ているはずです。 これは包茎手術以外に治療を加味していけば治療費は高額になりますと注意を喚起しているわけです。


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2、包茎専門病院での包茎手術の相場

消費者相談窓口に高額治療費の相談をする患者さんがこれだけ多いのは、患者さんが事前に想定していた治療費と実際にかかる治療費の差が大きいことが原因です。

では、そもそも包茎手術の治療費の相場はいくらくらいなのでしょう。
そこで、保険診療を取り扱う病院の包茎手術の料金を調べてみましょう。真性包茎は病気として認められ保険で包茎手術が受けられます。 この際に病院が手術代金として受け取れる金額は保険点数であらわされ、術後の再診など含めても3万円程度でしょう。これが病院の収益です。 このうち患者さんが支払う分は3割負担で1万円程度で済んでしまいます。
はっきりいってこの金額で手術室を使用して医師と看護師を使って1時間程度の手術をしていたら赤字です。 ほとんど病気を治すという社会的な使命で手術をしているようなものなのです。
なので仮性包茎の患者さんの包茎手術は、保険診療を取り扱う病院では「手術の必要がない」と言って断られます。 病気でないので断るのも当然ですが、保険点数程度の支払を受けても赤字というのも大きな理由のひとつなのです。

個人開業の泌尿器科のクリニックで保険点数に基づかない自由診療扱いで仮性包茎の手術をしているところも少ないですが存在します。 政令指定都市だと10〜15万円程度、地方都市で8〜12万円程度の料金設定が多いようです。 外来の保険診療の患者さんが収益のメインで、空いた時間で包茎手術をしているようなクリニックでもそれぐらいの治療費をもらわなければやっていけないのです。

では、専門院の治療費の相場はどれくらいが妥当なのでしょうか…必要な経費から想定される治療費を検討してみましょう。
もうわかりますね。10万円程度の治療費で専門院の包茎手術が受けられるなんて考えないことです。 専門院の一番安い包茎手術法は、最低限必要な処置・手技しか含まれていないような包茎手術や仕上がりに難点がある包茎手術法で、 専門院側でも手術は想定していない「餌」にすぎないのです。

日本は健康保険制度の関係で医療費を安く見積もる方が多いですね。
消費者相談窓口の担当者から高額治療費のディスカウントを要求されたことがありますが、一般の保険診療の治療費を参考にして1〜2万円程度に下げるように要求されたのには 驚きました。専門院で実際医者を一人雇い経験をつませて収益を上げられるようにするには安い治療費では無理なんです。 まして美容外科などの自由診療の専門院では広告宣伝費が桁外れにかかっています。包茎の専門院でも大手の病院なら年間数億円以上の宣伝費をかけているのが普通です。
どれくらい広告費をかけているかで各専門院の損益分岐点は変わってきますから一概にはいえませんが、 専門院で包茎手術を受けるなら最低でも20〜30万円程度は妥当な金額なのです。


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